アメリカのインフレ、実際どうなの?レシート38枚で検証

Fred Meyerのレシートとアメリカのインフレを分析するイメージ Uncategorized

アメリカでは、インフレのニュースをよく目にします。物価がどんどん上がっている、という話は日常的に耳にします。では、実際のところはどうなのでしょうか。そこで、行きつけのスーパー「Fred Meyer」のレシートを、1年半分集計してみました。枚数は全部で38枚です。自分の買い物データを通して、世間で言われる「インフレ」の実態を検証してみようと思います。

この記事の前提:Fred Meyer 1店舗分のデータです

最初にお断りしておきます。今回の数字は、あくまでFred Meyer 1店舗での買い物データです。我が家では他に、アジア系スーパーやTrader Joe’sでも定期的に買い物をしています。そのため、この金額を「我が家の食費全体」として捉えるのは正確ではありません。とはいえ、同じ店舗で継続的に記録されたデータです。そのため、物価の変化を見るには、十分参考になると考えています。

合計金額だけを見ると、大きく増えていた

まず、レシートの合計金額をそのまま比べてみました。2025年2月〜7月と、2026年1月〜7月です。すると、合計金額は約$1,060から約$2,490へ増えていました。率にすると、約135%です。この数字だけを見ると、「やはりインフレはすごい」と思ってしまいそうです。

ただし、これは単価の比較ではなかった

しかし、この数字には注意が必要です。合計金額が増えた背景には、購入した点数(量)自体が増えていることも関係しています。実際、総購入点数も204点から479点へと、ほぼ同じ割合で増えていました。買い物の回数や規模が変われば、合計金額も当然変わります。つまり、合計金額の比較だけでは、値上がりの実態は分かりません。そこで、1点あたりの平均単価で比べ直すことにしました。

1点あたりの単価で比べると、そこまで変わっていなかった

1点あたりの平均単価を計算すると、2025年は$4.78でした。2026年は$5.07です。上昇率にすると、わずか6.1%でした。しかも、同じ月同士(2月)で比べると、$4.55から$4.49と、むしろほぼ横ばいでした。世間で語られる「アメリカの物価は跳ね上がっている」というイメージに比べると、かなり落ち着いた数字だと感じました。

ちなみに、この単価比較では、家族が一時帰国していた時期の少量レシートは除いています。買い物の規模が極端に小さいと、単価の振れ幅も大きくなり、正確な比較がしづらくなるためです。

実は、これは自分だけの感覚ではなかった

気になったので、アメリカの公式統計も調べてみました。すると、興味深い事実が分かりました。アメリカ全体の消費者物価指数(CPI)は、2025年で前年比+2.6〜2.7%、2026年半ばには+3.4〜3.5%まで上昇しています。これは確かに、ニュースでよく報じられる水準です。

ところが、食品(グロサリー)だけに絞った「Food at Home」指数を見ると、話が変わります。2025年は+2.3%、2026年上半期も+2.7%程度と、全体よりもむしろ落ち着いているのです。さらに、パデュー大学の消費者調査によると、2025年の消費者の”体感”インフレ率は+5.4%でした。しかし、実際の公式統計は+2.7%です。つまり、体感は実態のおよそ2倍だったことになります。詳しくはパデュー大学の調査レポートで確認できます。

今回のFred Meyerのデータ(+6.1%、2月単月ではほぼ横ばい)は、この公式統計や調査結果とも大きく矛盾しません。つまり、「インフレが騒がれている」という世間の印象と、食品の実際の値上がり幅には、思った以上のギャップがあるようです。

とはいえ、値上がりしている商品もある

もちろん、まったく値上がりしていないわけではありません。個別の商品を見ると、鶏むね肉は2025年から2026年にかけて着実に上昇し、直近では1lbあたり$7.49まで来ています。牛ひき肉も、2026年だけで$9.49から$10.99へと上がりました。牛乳やベビーリーフミックスも、2025年末に到達した高値がそのまま定価として定着しています。

一方で、レタスやアイスクリームの一部フレーバーは、セールの頻度が増えたことで平均購入価格が下がっていました。つまり、値上げは全品目一律ではありません。カテゴリーやタイミング次第、というのが実態でした。

オレゴン州ならではの費用、ボトルデポジット

レシートを見ていて、もう一つ気づいたことがあります。それは「Bottle Deposit(ボトルデポジット)」という項目です。38回中31回、実に82%のレシートに記載されていました。

これは、缶や瓶入りの飲み物を買うときに上乗せされる預り金のことです。オレゴン州では、1本あたり10セントかかります。ちなみに、この制度はアメリカ全土共通ではありません。導入しているのは、オレゴン州を含む10州だけです。しかも、オレゴン州は1971年に全米で最初にこの制度を作った、いわば発祥の地です。詳しくはNCSLの資料で確認できます。

ただし、注意点もあります。このデポジットは、空き容器を店舗に返却すれば返金される仕組みです。そのため、レシート上の金額は「純粋な負担額」ではありません。あくまで購入時に上乗せされた金額です。ちなみに、今回の集計では合計約$32のボトルデポジットが記録されていました。

クーポン割引が手厚い、Fred Meyerの良いところ

最後に、意外な発見も紹介します。それは、クーポンやセールでの節約額です。38回のレシートのうち35回、実に92%の買い物で割引が適用されていました。合計すると約$565の節約です。1回あたりに換算すると、約$16の節約になります。

1年半の総支出約$5,314に対して割合を出すと、平均で約10.6%が割引されている計算です。つまり、レシート上の合計金額を見る前から、すでに1割ほど値引きされた後の金額を払っている、ということになります。

ロイヤリティカードを提示するだけで、ほぼ毎回これだけの割引が自動的に適用されるのは、正直かなりありがたいです。値上がりの実感はある一方で、クーポンやセールをきちんと使えば支出を抑えられます。その意味で、Fred Meyerは駐在生活の中でも満足度の高いスーパーだと感じています。

まとめ

  • 合計金額の単純比較では約135%という大きな増加率が出た
  • しかし購入点数も同時に増えており、合計金額だけでは物価の実態は分からない
  • 1点あたりの単価で比べると、上昇はわずか+6.1%(2月単月ではほぼ横ばい)
  • 世間で言われる「アメリカのインフレ」ほどには、単価は上がっていなかった
  • 公式統計でも食品(Food at Home)の値上がりは+2.3〜2.7%程度、消費者の体感(+5.4%)より実態は穏やか
  • ただし鶏むね肉・牛ひき肉・乳製品など、個別には確かな値上がりも見られる
  • ボトルデポジットはオレゴン州を含む10州だけの制度、Fred Meyerでは82%の買い物で発生
  • 92%の買い物でクーポン・セールが適用、1年半の総支出の約10.6%(約$565)を節約できていた

ニュースで聞く「インフレ」のイメージと、実際に手元のレシートを数えてみて分かった実態には、ギャップがありました。もちろん、これはFred Meyer 1店舗、1年半分のデータに限った話です。とはいえ、体感やニュースの見出しだけで「値上がりしている」と決めつける前に、一度自分の手元のデータを確認してみる価値はありそうです。あわせて、アメリカの床屋と30%のチップや、オレゴン州で見かける車事情もぜひ読んでみてください。

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